2012年10月24日水曜日

デガレリクス(ゴナックス)発売開始


テストステロンの産生を抑制する前立腺がんの治療薬デガレリクス(ゴナックス=GnRHアンタゴニスト)が、昨日(10/23)より発売開始となりました。我国では本年6月末に世界で60番目に承認された皮下注射薬です。
(FDAの承認は2008年12月ですから、承認の遅れは約3年半)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/search/cancer/news/201210/527349.html&cnavi=1
これまでは、前立腺がんのホルモン療法(アンドロゲン遮断療法)と言えば、ほとんどの場合LH-RHアゴニスト(リュープリンやゾラデックス)が、単独もしくはビカルタミド(カソデックス)等との併用で用いられてきましたが、デガレリクスは、LH-RHアゴニストに比べ、PFS(無増悪生存期間)で優位性を示したことや、要注意とされてきたフレアアップ現象(一時的なテストステロンの上昇)もなく取扱がより単純になるので、ホルモン療法のファーストラインとしてLH-RHアゴニストに置き換わる時期もそう遠くはなさそうです。
LH-RHアゴニストに対して耐性が生じた場合、セカンドラインとしてデガレリクスが有効かどうかは、現時点で情報がありません。(私見としては、「下垂体」以降の薬の機序はほとんど同じはずなので、薬の交替による新たな効果は期待できそうにないと思いますが、専門家のアドバイスがいただければありがたいですね)
参考:アゴニスト=類似薬、アンタゴニスト=拮抗薬

アステラス製薬のニュースリリースは ↓こちらから
http://www.astellas.com/jp/corporate/news/detail/gnrh-2.html

2012年10月3日水曜日

エンザルタミドは骨関連事象と疼痛増悪のリスクを低下させる


第37回欧州臨床腫瘍学会(ESMO2012)での発表によると、去勢抵抗性前立腺癌患者を対象としたフェーズ3試験で、エンザルタミド(Xtandi:米国では発売済)は全生存期間を延長すると共に、骨関連事象と疼痛増悪のリスクを低下させることが確認された。

                プラセボ群  エンザルタミド群
                 (399人)    (800人)
全生存期間中央値     13.6カ月    18.4カ月
骨関連事象出現中央値  13.3カ月    16.7カ月
疼痛(QOL調査票)     23%悪化    7.5%改善

エンザルタミド(enzalutamide)は、アンドロゲン受容体シグナル伝達経路において、テストステロンのアンドロゲン受容体への結合を競合的に阻害、アンドロゲン受容体の核内移行を阻害、そしてアンドロゲン受容体とDNAの結合阻害といった3段階の阻害作用を示す。

私見ですが、期待度は高まるばかり。日本での早期承認を期待したいですね。

参照サイト:
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/esmo2012/201210/526988.html&cnavi=1

本ブログにおける関連記事:
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http://higepapa.blogspot.jp/2012/09/mdv3100fda.html
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http://higepapa.blogspot.jp/2012/02/mdv3100.html