2012年9月27日木曜日

生検前の画像診断(米国)

針生検の時、日本ではエコー(超音波)を見ながら、このあたりと半ば適当に検討をつけて針を刺すだけですが、さすが米国は進んでいますね。
MRI(3テスラ)とPET情報を融合し、がんの位置や悪性度まで予測しながら、その情報を生検前にエコーに送って、リアルタイムで観察しながら、狙った位置に針を刺すことができるということです。
判りやすい動画(日本語字幕付き)がコレ。
http://www.cancerit.jp/1079.html

PSAが高く、強く前立腺がんが疑われる人でも、生検でなかなかがんが見つからないケースがありますが、そういう人にもこの方法は有用ではないでしょうか。

Xtandi(エンザルタミド)・・・開発コード:MDV3100

アステラス製薬は、FDA(米食品医薬品局)から承認を取得した抗がん剤「エンザルタミド」を、2012年9月14日から米国で発売したと発表した。
これまでは開発コード「MDV3100」と呼ばれていましたが、今後は米国での商品名Xtandiもしくは一般名エンザルタミドという名前で呼ばれますのでご注意ください。
転移または再発性の去勢抵抗性前立腺がん患者、言いかえればドセタキセルによる化学療法施行歴を有する前立腺がん患者を対象に承認された治療薬です。

Xtandi(エンザルタミド)は、テストステロンのアンドロゲン(男性ホルモン)受容体への結合を阻害、アンドロゲン受容体が前立腺癌細胞の核へ移行するのを阻害し、受容体がDNAへ結合することを阻害してアンドロゲン受容体の発現量が上昇している時でもがん細胞死を誘導することで効果を発現する

2012年9月12日水曜日

「ランマーク」注意喚起情報

骨転移のある患者さんは特にご注目を!

厚生労働省からデノスマブ(ランマーク皮下注120mg)に関する注意喚起情報(2012/9/11)が出されました。


”骨病変治療薬「ランマーク」投与患者での重篤な低カルシウム血症に関する注意喚起について”
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002jjwe.html

○ 「ランマーク」【別添1】は、多発性骨髄腫による骨病変及び骨転移を有する固形癌の骨病変の進展を抑える薬剤で、破骨細胞の活性化を抑制することで、骨からカルシウムが溶け出すことを抑制する作用があり、低カルシウム血症を起こすおそれがあることが知られている。

○ 7月10日に、「使用上の注意」を改訂し、重篤な低カルシウム血症が発現することについて注意喚起を行ってきたが、その後、関連性の否定できない低カルシウム血症による死亡例が2例、厚生労働省に報告されている。

○ 患者の安全確保のため、
 1.投与前及び投与後頻回に血清カルシウムを測定すること。
 2.充分量のカルシウム及びビタミンDを合わせて服用すること。
 3.重度の腎機能障害者では、低カルシウム血症を起こすおそれが高いため、
   本剤を慎重に投与すること。
 4.低カルシウム血症が認められた場合には速やかに適切な処置を行う事。

○ また、本剤投与中の患者にあっては、高カルシウム血症の場合を除き、医師の指示に従ってカルシウム及びビタミンDを合わせて服用し、手足のふるえ、しびれ等の症状がある場合には直ちに医師に連絡することが重要である。

○ このため、【別添2】のとおり、「使用上の注意」の改訂を行うとともに、医薬関係者等に対して、【別添3】により、速やかに情報提供するよう、製造販売業者に対して指示した。

 ・ 別添1(PDF:185KB)http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002jjwe-att/2r9852000002jjxv.pdf
 ・ 別添2(PDF:81KB)http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002jjwe-att/2r9852000002jkti.pdf
 ・ 別添3(PDF:1,093KB)http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002jjwe-att/2r9852000002jktw.pdf

本ブログ(2012年5月30日)の”デノスマブの副作用(低カルシウム血症)に注意”でも、米国における死亡例をお伝えしていましたが、結局、日本でも同様の事例が見つかるに到り、改めて「安全性速報」(危険性速報?)という名の注意喚起情報が出されるに至りました。
医療者患者の双方に冷静さが求められると共に、正しい使用法が望まれます。

(以下、5/30書き込みの再掲です)

2011年暮れに承認された骨転移による骨病変に対する治療薬デノスマブ(ランマーク皮下注120mg)が、2012年4月から実際に使用できるようになりました。
骨関連事象の発現を遅らせる効果は、ゾメタよりデノスマブのほうが優れている(NCI Cancer Bulletin2010年11月30日)とも言われていますが、注意を要する副作用情報が入ってきました。

米国では重篤な症候性の低カルシウム血症(症状を伴う血中カルシウムの低下)による死亡例が報告されており、昨日、第一三共のHPにも、低カルシウム血症に対し注意を喚起する製品情報が掲載されました。
http://www.daiichisankyo.co.jp/corporate/pdf/20120529.pdf
手足のふるえ、筋肉の脱力感、けいれん、しびれ などの症状が出たら要注意とか。
いずれにせよ新しい機序の分子標的薬ですから、効能の裏にどんな副作用が隠れているかも知れません。
治療を受けていて少しでも異変を感じたら、すぐに主治医に訴えるほうが無難ではないでしょうか。

2012年9月4日火曜日

MDV3100(エンザルタミド) FDAが承認


2012年9月3日、アステラス製薬は、米国メディベーション社と共同で開発を進めているエンザルタミド(enzalutamide, 開発コード:MDV3100, 米国商品名:XTANDI)について、ドセタキセルによる化学療法施行歴を有する転移性去勢抵抗性前立腺がんの効能・効果で、米国食品医薬品局(FDA)より承認を取得したと発表した。
エンザルタミドは、テストステロンがアンドロゲン受容体に結合するのを阻害するアンタゴニストとしての作用のほか、アンドロゲン受容体の核内移行とDNA結合、活性化補助因子の動員を抑制する。

日本では、化学療法前の転移性去勢抵抗性前立腺がん患者を対象にした第3相試験のほか、化学療法後の患者を対象にした第1・2相試験が進行中。


http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/search/cancer/news/201209/526586.html&cnavi=1