2011年1月23日日曜日

プロベンジ

2010年4月29日、米国FDAはデンドレオン社が開発した前立腺がん治療ワクチン「プロベンジ」を承認しました。
これは世界で初めて、かつ、他種のがんに先駆けて承認されたがん治療ワクチンです。
FDAに提出された二重盲検臨床治験のデータによれば、プロベンジの投与で生存期間は4.1か月延長されたとのことで、
これは驚異的な数値です。

 プロベンジはホルモン療法抵抗性前立腺がん(HRPC)患者を対象とし、患者の血液から採取した免疫細胞(抗原提示細胞)を、前立腺がんの殆どに発現が見られるPAP蛋白質を加えて体外で培養したもので、これを患者に戻すことで抗腫瘍効果を発揮します。
プロベンジは、自覚症状がほとんどなく全身状態が良好な患者を対象とし、内臓障害がある場合や、期待余命が6ヵ月未満の患者には推奨されておりません。
 プロベンジの費用は、9万3000ドル(800万円)と高額ゆえ、発売当初はその普及に疑問が持たれたのですが、すでにプロベンジの製造が需要に追いつかなくなり、デンドレオン社は2011年 中旬を目途に製造設備の拡張を始めているとのこと。

 2010年11月、米国のメディケア(高齢者・障害者向け国営保険)諮問委員会が、プロベンジを保険償還するように推奨しました。多くの関係者は今年そのまま承認されると考えています。
 メディケアへの償還が実現すれば、プロベンジは米国だけで年間17.5億ドルを売り上げると予想されています。
特許切れまでに世界での売り上げは数兆円に達します。デンドレオン社に莫大な収入と米国に莫大な税収をもたらすでしょう。
これにより、米国ががんワクチンなどを含も医療分野を成長戦略の柱と認識していることが明らかとなりました。
プロベンジの成功を受け、世界的にがん治療ワクチンの開発競争が激しくなっているのが現状です。