2010年1月11日月曜日

前立腺がん:ステージD1

(ひげの父さんの掲示板書込み:2010-1-10)
かなり進行した前立腺がんでも、ホルモン療法で共存をはかることもできれば、かなりの高齢者であれば、無治療のまま天寿をまっとうできることも珍しくはないのですが、比較的若い人の場合は、いつかホルモン療法に耐性が生じる日を恐れながら暮すよりは、「治せるものなら治してしまいたい」と思うほうが普通じゃないでしょうか。

こうした場合、治療法の選択しだいでその運命が大きく分かれるのは、5~6年前はステージCだったと思うのですが、今やそれがステージD1に移りつつあると感じています。ただし、ステージD1に対しては、ほとんど全ての泌尿器科医はホルモン療法を勧めるでしょうし、放射線治療医でもまだD1に対する積極的治療には否定的な見解のほうが多いはずです。

EBMに基づくデータが出そろうには、経過観察も含めれば5~6年はかかってしまうのが当たり前です。ガイドラインというのは、そうした時間を経て作成されるわけですし、それと同時に、特定の医療施設、特定の医師だけしかできない治療法じゃなく、多くの医療施設でも実施(再現)可能な治療法というのが重視されてもいるわけです。また、書かれていないことや、決められていない事項も当然たくさんあるわけです。

新しい治療法よりも標準治療を第一と考え、これに逸脱することや極端に遅れた治療法に警鐘をならすことは、格差是正や均てん化を図るという意味では非常に大事なことですが、ガイドラインに書かれていないやり方でも、治る可能性がわずかでもあるものなら、それに賭けてみようと思うのも、これまた当然でしょうし、そういうことも必要な自己決定の一つだと思うわけです。

海外では、こうした治療法も、治験(clinical trial)という形で、患者の選択肢として提供されているわけですが、日本では残念ながら、こうした情報は待っていても与えてもらうことはまずできません。なんとかしたいと思うなら、ガイドラインというのは法律ではありませんから、そうした道がまったく閉ざされているわけではありません。

開いている門はあるはずですが、そこまでの道案内がほとんどないのが実情です。むしろ、始めからそうした道案内をしてくれる医師に出合うことは稀だと思って、ここぞと思う医師や医療施設を、積極的に自分から訪ねていく姿勢が必要ではないでしょうか。
たとえそれがセカンドオピニオンであれ、サードオピニオンであったとしても。
始めからホルモン療法で良いということであれば、なにもこうした努力をする必要はないわけですから、それも含めて、自己決定が大事ということになるでしょうね。