2008年3月19日水曜日

悪性の骨盤進展前立腺癌

悪性度の高い若年者骨盤進展前立腺癌に対しては、ホルモン治療・放射線治療に併用して、保険適応はありませんがドセタキセル(タキソテール)を含む抗癌剤治療の実施を勧めています。但し、完全アンドロゲン遮断治療+照射治療後の再燃ではエストラサイト・ドセタキセル・白金製剤・ジェムザール、最近ではオキサリプラチン・イリノテカン・アバスチンの順にケースバイケースで治療する事もあります。いずれにしても放射線治療後の再燃については、グリーソンスコア・進行度(Stage)・PSA倍加時間で遠隔転移の時期、予後が左右されます。
保険適応外の薬を試す前に、放射線治療・白金製剤あるいはVP-16(ラステット)、フッ化ピリミジン系等の保険適応となっている治療薬もあります。また抗アンドロゲン剤の内服あるいは第2次・第3次ホルモン治療も試してみる価値があります。
カルシトリオール、アンジオテンシンⅡあるいはゾメタ、アレディア等の補助薬についても上記IDで回答しております。アバスチンについては化療の中間~最終段階の治療として取っておきます。
エストラサイトの内服試用と照射治療が必要と思われます。また、体重を支える骨転移病巣や神経を圧迫する骨病巣があれば同様に照射が適応です。エストラサイトが不効であれば、ドセタキセル・白金製剤さらにはジェムザール等の新規抗癌剤も効果が期待出来ます。ステロイドは疼痛緩和、食欲増進あるいは癌再燃・悪化に伴う発熱等に効果は認めますが、これだけでは正攻法ではありません。照射治療はすぐにでも開始可能だと思います。他の転移・進行前立腺癌の方のIDもご参照下さい。また低分化前立腺癌には小細胞癌系への分化もありますので、マーカーとしてNSE、ProGRPも併せてチェックが必要です。一時的な疼痛緩和として積極的にデュロパッチ、オプソあるいはオキシコンチンを使用して下さい。
多発性骨転移を有する前立腺癌であっても、直腸診あるいはCTを含む画像診断で、骨盤内病変即ち前立腺が大きく(バルキー)て局所進展型であれば、比較的若年を考慮し、当科は迷わずホルモン治療+動注抗癌剤(白金製剤にドセタキセル、あるいはジェムザールの3者併用:保健不適応)に照射治療を併せた3者併用治療を実施します。原発巣あるいは骨盤内病変が小さい(ノンバルキー)ケースであればホルモンと照射の2者併用のみで対処します。
食欲不振に対しては、ヒスロンH 他に アセナリン、六君子湯、ガスモチン、ステロイド等。
エストラサイト、VP-16、インフォマイド、ビンブラスチン、フッ化ピリミジン、ドセタキセルを含む化療が一般的です。ドキタキセルに抵抗性の時は白金製剤あるいはジェムザールを追加します。また将来的にはアバスチン、グリベックあるいはオキサリプラチンも候補です。 抗癌剤以外の補助薬としてのビスホスホネート系薬剤使用も多発性骨転移には有用です。